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アジアの魅力にとりつかれた20人の作家、写真家、イラストレーターが書き下ろすエッセイのアンソロジー。舞台は中国、インド、イエメンそして日本とアジアが中心。だが、話はアジアからパリやイタリアまで広がっていく。1作品約20ページと短い。
友人の骨を納めるためにバングラデシュを訪れた下川裕治の「魂」論。仕事に忙殺された日常で失っていった驚きや興味を取り戻すため、1年半の旅へ出た阿部稔哉。タイとベトナムの料理をイラストとコメントにした浜なつ子。「ソムタムは、唐辛子の辛さに酸味が加わったシャープな辛さが自慢の国民食」と、特に彼女のページは眺めているだけでニョクマムやライムの香りがツーンと鼻を刺激してくるようだ。タイのふっくらしたおばちゃんが杵(きね)を片手に食材をついてる姿は、まるで屋台にいるような錯覚を抱いてしまう。
下川は本書のプロローグで、著者たちを「アジアの語り部」と言う。スタンスの異なる20人。訪れた国もバラバラなら、書かれている内容も20人20色だ。だが、そこには共通するものがある。「行間から流れでるアジアの皮膚感覚」だ。アジアに対するそれぞれの「思い」がぎっしりと詰まっている。(知念梨華)
カスタマレビュー
はみ出した旅のゆくえ ( 2006-07-15 )
納骨の旅、薫陶された人の足跡をたどる旅、何かを求めて飛び出して行く旅。タイ、インド、バングラディッシュ、チベット、ベトナム、ジャワ、中国。同じアジアの枠にありながら、日本とはあまりにも違う世界が広がっている。20編の短編を集めた形式で、それぞれの感性や旅へのスタンスの違いが行間に現れていたような気がした。読んでいて楽しいのは、仕事その他で海外に行ったときのカルチャーショック物語や苦労話ですね。
なので「食は広州にあった」と「アジア医者出世」がわりとおもしろかった。あとはドキュメンタリー見たほうがいいよ、っていうような作品もありましたが。
それぞれ力作なのはわかるし、よくまとまっているとは思う。でもなぜか惹かれるものがなかった。行ってみたいと思うわけでもなく、反発を感じたわけでもなく。現実感がわかなかったわけではないけれど、情景がなんとなく目の前を過ぎていっただけだった。
数少ないイエメン話収録 ( 2005-05-21 )
どの話も非常に面白かったのですが、ここでは数少ないイエメンの話が収録されています。
日本語で読めるイエメンの本は本当に数える程しかありません。
アラビア半島のイエメンでアジア?
と思われる方も多いと思いますが、あそこは、やはりアジアです。
これを読んでイエメンに行ってみようという方はあまりいないと思いますが(笑)アジア好きな方なら一度行けば必ずはまる国です。
この話では私の知らないイエメンが覗けてなかなか面白かった。
イエメンが気になっている方、是非読んでみて下さい。
他に私が好きな話では、下川さんのバングラデッシュの話。
下川さんの話はいつも、旅に行った気にさせてくれるというか、
その土地の人が何を思い、何をしているのかが、
ストレートに伝わってきます。
神田憲行氏の一編が素晴らしい。 ( 2002-02-25 )
アジアにかんするいろんな人の短編集。
近藤紘一に触発されてベトナムで日本語教師になった神田憲行氏が、故・近藤紘一氏の未亡人を訪ねパリを訪れる。
近藤氏とその妻の愛情の深さを確認できて著者も読者も満足できる、感動の一編が素晴らしい。
その他、美本を求め韓国を歩く女性の話も面白く、色々な切り口でアジアの旅を楽しめる。
