コーカサス国際関係の十字路 (集英社新書 452A) (集英社新書 4..
コーカサス国際関係の十字路 (集英社新書 452A) (集英社新書 452A)
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カスタマレビュー
この複雑怪奇な地域を、ミクロとマクロの視点からわかりやすく ( 2008-10-31 )
チェチェン紛争から昨今の南オセチア問題まで、常に世の中を騒がせ続けている「コーカサス」についての概説書。
国で言えば、アゼルバイジャン、グルジア、アルメニア、ロシアの一部などだ。
こういった少々マニアックなテーマだと、他の書籍やニュースから集めた二次情報だけで構成されている本もたまに見かけるが、本書は明らかに違う。
著者が自分で集めた貴重な一次情報が中心で、ミクロの視点とマクロの視点のバランスが絶妙な、とても読み応えのある一冊になっているのだ。
一口にコーカサスと言ってもものすごく多様で、民族も言語も宗教もいろいろ。
その中で著者はアゼルバイジャンの専門家らしく、アゼルバイジャンについての記述が充実しているが、その他地域についてもしっかりと書かれている。
おそらく日本にはこの地域の専門化が少ないと思われるので、著者の視点は非常に貴重なものだろう。
今後もぜひ、書籍などを出していただきたい著者だ。
ちなみに、著者の立場はあくまで中立なのだが、少々アゼルバイジャンびいき的な記述も見られる。
でも、そんなところにもむしろ、著者の人間味が見られて好感を持ってしまったりも・・・。
グルジア問題のベースがわかるタイムリーな一冊 ( 2008-09-10 )
いま話題のグルジア問題を考えるうえで必読の一冊。なんでロシアやアメリカがこの地域にこだわるのかといった、日本人にはまったくピンとこない国際政治状況が見えてくる。また、旧ソ連という国が、いかに複雑で多様な民族・国土を抱え込んでいたのかが垣間見えて興味深い。
ニュースの意味がわかりました。 ( 2008-09-10 )
世界地図はだいたい頭に入っていると勘違いしていましたが、グルジアとかアゼルバイジャンと言われると、地図の絵柄と国名と都市名が全然一致していなくて愕然としました。しかも、最近の報道を聞いていると、そのあたりの地域(コーカサス)が今、ロシアVSアメリカの新たな冷戦の最前線になっているようです。日本語での情報が少ない中、貴重なガイドブックだと思います。
この小さな地域を通して見える大国の戦略 ( 2008-09-09 )
4月、旧ユーゴ諸国の紛争地域を回った。7月には、来年は世界最初のキリスト教国アルメニア、第2のグルジア、そしてゾロアスター教国アゼルバイジャンに行くと決めた。この三国のすぐ北にはあのチェチェンがある。開けて8月、北京五輪開幕の日にグルジアが南オセチアで動き出す。おかげでグルジアは退避勧告になってしまった。そして、ネットで情報を集めれば、今回の南オセチア紛争には多くの政治戦略の動きが窺われる。
前は平和の反面教師としての地域間の民族的、経済的背景を持った紛争について局所的な視点を中心として眺めていたが、現代においてはそれでは十分説明がつかないことがわかる。どうしても大局的な視点が必要だ。しかし、専門的な書はあっても、大局的な視点の良書というのはそうはお目にかかれない。専門化が進んだ現代での一つの弊害だ。そこで本書だが、西欧、ロシア、旧共産圏、中東、米国の5つの政治ブロックの戦略の視点からこの地域の持つ役割が語られている。政治的側面が中心でその次が経済。民族的な分析は政策理解に必要な最小限にとどめられている。本人の取材内容も盛り込みながらバランスよくまとめられている。著者はこの複雑な地域をうまく説明しきれていないと書いているが、こんな小冊子にここまで無駄なくバランスよく書かれた書はそうはないだろうし、簡単にできることとも思えない。渾身の一冊と思う。
著者は若いが内容はしっかりしている。読者はあとはネット上の情報を吟味しながら個々の事象を把握していくことになろう。本書は現時点ではその最高のパートナーといえる。おかげで、いろいろな英語の情報の理解も容易になったし、その裏の複雑な背景が見えるようになった。グルジアやチェチェンだけに興味がある人には扱いが不十分に思えるかもしれないが、これはこの書の視点からして仕方がない。むしろ全体像を理解してとらえられる点で活用してほしい。
それにしてもまるで紛争を予期したかのような刊行。それほど現代は紛争の火種をあちこちに抱えたまま流れていくということなのだろう。
なお、本書ではロシアの政策上、アブハジアと南オセチアの独立までは認めないとなっているが、8/26にメドヴェージェフは承認に署名したと発表。ロシアの方針に変化が起きているのかもしれない。
基礎知識を得る上でとても便利な一冊 ( 2008-08-29 )
アルメニアやグルジアなど、ニュースで時々名前を耳にするコーカサスの国々。そのわりには旧ソ連時代を含めてこれら地方に関する資料は少なく、ニュースの背景を知ろうとすれば、ものすごく大雑把な情報か、細切れな時事ニュースしか目に付かなかったような気がする。しかしチェチェン問題や2008年の8月に南オセチアで発生した事態やアプハジアの問題など、コーカサスで発生する問題は、この地域を伝統的に勢力圏と見なすロシアを直撃するだけに無視できない。いい解説書はないかと見回したところ目に付いたのがこの本。著者がこの地方に深い愛情を持っていることもあるのだろうか、とにかくわかりやすい。そしてわかりやすいけど単純な二元論に終わらず、この地域の複雑な構造もしっかりと押さえている。奥深いコーカサス事情を知る手引書として★五つ。
