全東洋街道 上 (1) (集英社文庫 153-A)
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カスタマレビュー
トルコの暗さ ( 2008-11-26 )
上巻では、トルコが中心となる。イスタンブール、アンカラ、黒海。それからシリア、イラン、パキスタン、インドへ。
とにかく鮮烈な印象の本だ。ひたすら暗いところ、汚いところへと歩みを進めていく。そして、本書の半分以上を占める写真のすごさ。けっして上手ではないと思うのだが、ぶれているところ、暗くて良く写っていないところまで含めて、強烈なイメージを伝えてくる。
アジア旅行の、ひとつのお手本のような本だろう。勇気のある人は踏み込んでみて欲しい。
雨が降ったら、ぬれる。 ( 2008-06-05 )
わたしが持っているのは集英社文庫判ではなく、
大判の1冊タイプの写真集だ。
プレイボーイ誌の連載直後にまとめられ、地元の小さな書店で購入した。
杉浦康平の装幀で、完璧なアートディレクション(というか、デザインしまくり)が
圧巻。巻末には使った書体まで明記してある(写研文字盤の4書体)。印刷ディレクターや、
なんと製版者の名前までクレジットされている。それほど凝りまくった一冊。
本自体が、特別の物体(オブジェ)と化している。
ボスホラス海峡の曇った、雪片が舞う見開き写真から始まり、
高野山の雪の地蔵の見開きで終わる。
かれは、香港の見開き写真で、こう書いている。
「私は写真を撮るというひとつの目的のために街を歩いたことがない。
それは私の旅が写真を撮るのを目的とした旅ではないのと同じことだ。
旅は不思議だ
歩いている男ほど不思議なものはない」
いちばん印象的だった文章のひとつは、
かれがカルカッタの雨によせて、自分の写真術について書いていること。
「雨期の写真術は 自分が雨に濡れること」
雨が降ったら、ぬれる。かっこいい。
80年代の学生に影響を与えた藤原のオリエンタル ( 2007-01-05 )
学生のころ中国に行ったときに、街角でカメラをパチパチやっている日本の大学生は、大なり小なり藤原新也の「全東洋街道」に影響されていた。肉屋の豚の頭、屋台の毒々しい色をした菓子、曇り空の暗い港にレンズを向けていた。
全東洋街道が「PLAYBOY」連載中から評判を取った後、藤原新也は「FOCUS」で新しい写真シリーズを始めた。後に「東京漂流」にまとまられたもので、第1回は一柳展也の金属バット両親殺害事件を取り上げた。塀越しに事件現場である家を真正面から撮った写真だったと記憶する。
今「全東洋街道」を見ても、テーマの直截さ色彩の激しさはそんなに古くなっていないように思う。カメラは、ぼろっちい小さいものを使ったという噂を聞いたことがあるが、本当だろうか。
旅行が好きな人もそうでない人も ( 2004-06-04 )
この本は、旅行記のようで実は、人生観や、哲学の本である。
旅の予定がある人は勿論、旅とは無縁の人にも是非読んでいただきたい。
夢のように美しく儚い、著者独特の写真と文章が、人生とは何か、生きる意味とは、という決して答えの出ない問答の闇に一縷の光を差してくれる。
多感な時期にこの本に出会えた人は幸運である。
著者は、現在も時事問題に独自の意見をNET等で発表されているが、今でも全く理念がぶれておらず、むしろ先鋭化しているようにさえ感じる。
一読者として藤原新也という人にこれまで一度も失望させられることは無かったしこれからも無いことを願う。
気に入った ( 2003-02-18 )
トルコ旅行を終えたばかりの私に上司がプレゼントしてくれたこの本。読み始めたら一気に読んでしまいました。旅行というよりも奥に入り込んだ藤原さんのアジアでの日々。思うままに旅路を決め、その日の気分で街を渡り歩く…あこがれます。
一気に下まで読んでしまいました。
いやらしい描写が好きではない人にはあまりお勧めできません。
