夏から夏へ


夏から夏へ

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夏から夏へ

夏から夏へ
佐藤 多佳子
集英社
発売日: 2008-07
価格: ¥ 1,575 (税込)
発送: 通常24時間以内に発送


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カスタマレビュー

3 アスリート・オブ・ザ・イヤー ( 2008-12-22 )
先日、日本陸連のアスレチック・アワードが開催され、今年活躍した選手たちが表彰されました。アスリート・オブ・ザ・イヤー(素直に「最優秀選手」でいいと思うが・・・)に選出されたのが男子4×100mリレーのメンバーです。塚原・末續・高平・朝原の四人。
これに、リザーブの小島を加えた日本のヨンケーチームを、大阪の世界陸上から北京オリンピック前まで取材したノンフィクションです。筆者はあの「一瞬の風になれ」の佐藤多佳子。北京オリンピック開幕前に出版。
素材は最高、なんたってアスリート・オブ・ザ・イヤーですから。ライターも高校生スプリンターを題材に小説を書いた作家ですから期待が持てました。実際、いろんなエピソードがてんこ盛りで楽しめました。いわゆる「陸上ライター」は、こんなこと書かんだろという家庭の事情とか・・。(^^;;
世界陸上の予選で、アジア新記録を更新したメンバーは、ドーピング検査でホテルに戻るのが遅くなり、近くのファストフードで遅い夕食を食べる。
(以下、引用)
深夜のなか卯は、他の客がいなかった。(中略)
「贅沢しよっか。ねぇ。贅沢」
「ささやかな贅沢だね」
「アジア記録出して、牛丼だもんな」(中略)
若い塚原と高平はやはり興奮していて、レースの話に花を咲かせた。(中略)朝原と末續は聞き手にまわって楽しんでいた。
(引用終了)
なんとも楽しげで、なか卯の店員がうらやましいぞ(笑)。
塚原からバトンを受け取る末續が、塚原を語る。「例えて言えば、原付バイクが全速力でブーンと走ってくる」
その末續からバトンを受け取る高平がリレーを始めた頃を「野球を出来ない人が、キャッチャーをやらされて、150キロのボールを受け取るようだ(中略)末續が迫ってくるのがとにかく恐い」と語っていたり。文章も平易にこなれているのであっという間に読めました。
残念なのは、当然ながら北京のシーンがないこと。尻切れトンボの印象が否めません。(続編が出るのかな)(^^;;
それから作者のミーハーモードが頻繁に出てきて、ちょっとなあと思うこと。そのせいか、全体の印象は単にインタビューをまとめただけで、踏み込み不足というか、取材対象と鋭く切り結んだところがありません。まぁ、普段はバラバラに活動している5人をチームとして取材しているので、ある意味仕方がないのかもしれませんが。陸上ファンなら読んでみて損はないでしょう。ということで星三つ

5 素晴らしい ( 2008-12-05 )
僕は今年の春まで合計7年ほど陸上をやっていた。
もちろん個人差はあると思うが、この本は経験者からみてもいいと僕は思う。

でも、この本を読んでほしいのは未経験の方。
紹介文にも書かれているように、この本の著者、佐藤多佳子さんは「一瞬の風になれ」の作者でもある。
一瞬の風になれにも共通することは、
陸上というマニアックなスポーツを未経験者という立場から、非常に分かりやすい表現や描写を用いて伝えている
ということだと僕は思う。

陸上が好きだからあえてこのような表現をするが、陸上は「一般的に1番観戦に向かない、見ていてつまらないスポーツ」だと思っている。
だが、一瞬の風になれ、夏から夏へ、この2作品は純粋に楽しめる作品である。

今年は北京オリンピックにて4×100mRでの銅メダルという快挙があった。
この本を読むと、あの銅メダルがリレーメンバーやその周りの方々にとってどれほどうれしい事なのか感じることが出来ると思う。

4 日本のトップショートスプリンターとその育成者への取材ノンフィクション ( 2008-11-10 )
対象は4人×100m、4継と呼ばれるリレーの4選手プラス1、
一番走者塚原直貴(北京オリンピック出場時23歳)、2番走者末續慎吾(28歳)、3番走者高平慎士(24歳)、4番走者朝原宣治(36歳)そして控えの小島茂之(28歳)。
著者の「一瞬の風になれ」は高校陸上部を丹念に取材しながらもフィクションの世界、こちらはリアルの世界で取材相手もトップアスリート。
取材の中に選手の人物像、経歴、生い立ち、今の地位を得るまでの努力、工夫、才能、故障、指導者、が見えて、それぞれに魅力的。
このクラスになるには才能に加えて、並々ならぬ精進、集中力などが必要なのが分かる。
「一瞬・・」のように淡い描写はない。
朝原の妻がシンクロの奥野史子、小島の妻がスプリントの新井初佳って知らなかった。でも、家族の話など2,3行で片づけてあくまで本人の取材からずらさないのがいい。

3 プロのアスリートが「自分を追い込む」とは。 ( 2008-09-29 )
「一瞬の風になれ」で本屋大賞を受賞した著者が,北京五輪直前に出したノンフィクション。昨年の大阪世界陸上の4x100mリレーメンバーのエピソードを中心に,観戦記とインタビューの2部構成になってます。

前半は「一瞬の風」そのまんまのタッチ。著者の作風ゆえか文字通り軽く書かれていて,Numberのような雰囲気を期待する向きにはちょっと歯ごたえ不足。しかし,練習の合間を縫って取材した後半のインタビューは読ませます。

最も衝撃だったのは高平の練習シーンかな。
練習の目的に応じて自分を追い込むとは,こういうことなのか,と。
これは普通にスポーツを楽しむ我々では絶対分かりっこない世界で,そこを思い知らせてくれた点で著者の仕事が光ります。

4 リレーが好きになる本(歓喜の裏側が見える本) ( 2008-09-01 )
大阪の世界陸上を走った男子4×100mリレーの4人と控え選手だった1人の5人の、大阪から北京五輪を目指すまでの期間を取材したノンフィクション。
「一瞬の風になれ」で陸上のスプリンターの魅力を紹介した著者の、4×100mへの熱い思い入れがよく伝わる作品。
選手それぞれの学生時代の恩師の話やエピソード、華やかに見える選手の過去の挫折と苦悩、リレーメンバーのお互いをどう思っているか、試合に賭ける想いなどを基本的にはインタビューを通した選手個人の生の会話を通して紹介しているけれど、それぞれを上手に繋ぎ合わせ、最終的にはひとつの物語にまとまっている。
陸上を知っている人はもちろん、これまで興味のなかった人も、この本を読めば絶対にリレーを見る目が変わってくるはず。
北京五輪で見事に彼らは銅メダルを獲得したが、事前にこの本を読んでいたら、感動も違っていたと後悔している。

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