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カスタマレビュー
物語作家が誕生するまで ( 2008-07-30 )
最初、【とーきょー いしい あるき】と言うタイトルで発表された、この作品集。
東京の街を舞台にした短編が全部で18篇収められている。
【幻のデビュー作】と言われるだけあって、
いしいさん自身が主人公であろうと思われる毒舌たっぷりの私小説的作品から、
星新一風なショートショート、不条理小説、果ては、鴉の書いた日記まで。
現在の、いしいさんの作風とは若干異なるテイストの物語を楽しむ事が出来る。
頭の中を洗いざらい全部ぶちまけた感じの迫力と覚悟が凄い!
実際この本を発表した後、本格的な小説家活動を開始するまで数年の空白期間があるようで、
故中島らも(その辺の問題で対談)のサイン会に、
ふらっと現れた時には「生きとったのかぁ!」と感動されたりしているし。
天性の物語作家いしいしんじは、こうして誕生したんだなぁ。
特に、浅草の老ホームレス【先生】(寺の住職だった人が五十歳を過ぎ、
坊主とコジキは三日やったらやめられんってホンマか?を確かめに家出、それから20年浅草の主。)
との話が秀逸!!笑えて泣ける傑作です、是非どうぞ。
若き酔っぱらいの幻想 ( 2007-06-10 )
いしいしんじを『ぶらんこ乗り』からほぼ発表順に読んだ人がいちばん楽しめるであろう短編集。そこかしこに、後の長編につながりそうな断片が出てくる。「腹に字を書かれた犬」は特にお気に入りのようだ。
全体に「物語作家誕生前夜」の色合いが強い。他の作品がきわめて制御された「物語」であるのに対して、材料を消化しきれていない、不安定なところが魅力。
なにしろ酔っぱらいのたくさん出てくる短編集だ。酔っぱらいの見た夢を笊豆腐みたいに掬い上げて、笑いを含ませて、生真面目な文体を「にがり」にして固めました、というような。
この作家は私生活では酒を愛するようだけれども、『ぶらんこ乗り』以降の作品には、ほとんど酒が出てこない。『プラネタリウムのふたご』で、主人公の片割れが精神的な暗黒面に落ちてゆくときの小道具として使われているくらい。
今後、いしいしんじの愉快な酔っぱらい話が読めることを願う。本短編集所収の「うつぼかずらの夜」「天使はジェット気流に乗って」あたりの進化バージョンが期待できそうだ。
再発見 ( 2007-02-24 )
私は夜の東京が大好きです。この本は少しロマンティックで、それでいて鋭く東京の夜を沢山描いた短編集です。下北沢から始まり、割と下町が多いのがとても好印象でした。東京の夜にはまだまだ魅力があります。
幻のデビュー短編集、ついに文庫化。 ( 2006-11-28 )
なんだかラブ・ストーリーみたいなタイトルに改題されているが、
96年に東京書籍から刊行された「とーきょーいしいあるき」の文庫化。
純愛・ホラー・SF等さまざまなテイストを贅沢かつ無節操にちりばめた全18篇。
