ロードス島攻防記 (新潮文庫)


ロードス島攻防記 (新潮文庫)

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ロードス島攻防記 (新潮文庫)

ロードス島攻防記 (新潮文庫)
塩野 七生
新潮社
発売日: 1991-05
価格: ¥ 420 (税込)
発送: 通常24時間以内に発送


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カスタマレビュー

4 いまの日本に活かせる話 ( 2008-01-17 )
単なる古代の話ではなく、きちんといまの日本にも適応できる中身となっているのがいい。
歴史ロマンというのは、ともすると昔話になりがちだが、さすが塩野女史。
たとえば本書には、古代のヴェネチアは海洋都市として、周囲の国に気遣いながら、うまく中立を保ちつつ、自国を繁栄させていっている、とある。
翻って日本は?? 戦後は完全にアジアからエクセプトされているが、これではどうしようもない。ヴェネチアを見習うべし。

4 個人を前面に出した地中海戦記中の異色作 ( 2006-11-24 )
「地中海戦記」三部作の第2段。ロードス島は現在、地中海の観光名所になっている美しい島で、私は会社と自宅の双方のPCに壁紙(候補)として幾つか入れている程である。白が印象的な島だ。三部作の他の2作同様、キリスト教軍とトルコ軍の戦闘が描かれるのだが、私は様々な意味で他の2作とは毛色が異なる作品と感じた。

作者の城砦と戦闘模様の精緻な描写とその裏にある綿密な調査は相変わらずなのだが、防御側の城壁、塹壕等の作り方等が、建築技師マルティネンゴを主体に描かれる等、個人を前面に押し出した形で描かれているのが特徴である。他の作品では、登場人物がともすると歴史絵巻中の1ピースの形で描かれるのとは大違いだ。トルコのスルタン、スレイマンも単なる異教の我儘な暴君ではなく精悍な指揮官として描かれる。

そして、ロードス島を守る聖ヨハネ騎士団である。三部作を通してキリスト教vsイスラム教の戦いが描かれるのだが、本作ほど宗教面を強調した作品は他にない。騎士団間の軋轢等も描かれるのだが、印象的なのは騎士アントニオとオルシーニの関係を(精神的)ホモセクシャルとして美しく描いている点だ。オルシーニに殉死するギリシャ女も印象的だ。登場人物間の恋愛感情をここまで強調した作品も他にはない。

敗れ去った騎士団は難民となって放浪する。驚いたのは、騎士団がその後も存続を続け、現在の赤十字組織に繋がっている事だ。地中海の海戦を通じて、ローマ諸国を初めとするヨーロッパの歴史的的変遷を描いた三部作中で、個人を前面に押し出した異色作。

5 流浪の騎士団 ( 2006-07-27 )
聖ヨハネ騎士団に興味を持ち、この本を購入しました。
小説というより歴史解説書といった感じですが、大変分かり易く厚さも調度いいです。

現存するこの騎士団の起源は十字軍時代に遡ります。
エルサレムの病院から始まった騎士団は次第に軍隊的組織へと変貌、各地を転々としロードス島に落ち着きます。
物語はロードスに攻め入るオスマントルコ軍と、迎え撃つ騎士団の攻防戦が緻密な筆致で描かれています。
若き3人の騎士アントニオ、オルシーニ、ラ・ヴァレッテ、トルコのスレイマン大帝らを中心に、誰を英雄視する訳でなく物語は淡々と進んでいきます。
中でもオルシーニはとても魅力的です。
アントニオとオルシーニの絆、オルシーニの最期、敵ながら天晴れなスレイマン大帝、ロードス退去後のアントニオの生き様は胸を打ちます。
ラ・ヴァレッテのトルコへの執念と騎士としての手腕は、放浪の末移住したマルタ島にて晩年発揮されます。
(彼の名前がマルタの首都名になっている)
その他、当時の貴族の在り方やライバル騎士団の末路など興味深い記述が満載です。

5 築城技術史としても読み応えがあります ( 2005-06-12 )
 ストーリーのすばらしさは他の投稿者の皆さんのレビューにあるとおりです。私はちょっと違う切り口から、本書の魅力を語ります。

 (1)新しい攻城兵器の登場→(2)城塞建築の革新→(3)戦闘形体の変容→(4)騎士という統治階級の衰亡、というのがこの本の基調です。

 地中海戦争三部作の第一作「コンスタンティノープルの陥落」では「大砲」という大型破壊兵器が史上初めて陸戦で威力を発揮した様が語られます。本作ではこの一つの戦争(戦闘というほうが正確かもしれません)が数十年を要したもののヨーロッパ人たちの城塞建築をいかに変えたかを伝えるのに、小品の貴重なページを惜しげもなく割きます。攻防戦前のロードス島要塞の刷新場面とともに、攻防戦のさなかのダメージコントロールからも目が離せません。

 ヒューマン面でのメインキャストは騎士達やスレイマン大帝ですが、当時の技術先進国ヴェネチア出身の築城技術者マルティネンゴ(&彼が防衛責任を負う城塞そのもの)はテクノロジー面の主役といえます。
 本書の魅力はまさに両者の絶妙な織り交ぜです。

5 戦いの場面が目に浮かびます・・・ ( 2004-09-12 )
トルコのスルタン、スレイマンは見事な「ラテン語」で、「キリストの蛇たちの巣」であるロードス島・ヨハネ騎士団への宣戦布告を送り、壮絶な戦いが始まっていく。しかし騎士団の本国であるヨーロッパ諸国は、プロテスタントの出現、ローマ法王を巡る覇権争いに忙しく、遠い地で異教徒と果敢に戦う騎士団を支援する余力には乏しい。

数ヵ月後、大きな犠牲を払った戦いは終了し、ヨハネ騎士団はロードス島を去るが、その際にも勝者スレイマンは、騎士団長に対し「あなたとあなたの配下のように勇敢で義に厚い人々を、その住処から追い出さなくてはならないようになってしまった事態に、心からの悲しみを感じないではいられない」と告げたという。

宗教の対立は今も昔も変わらないけれど、著者の描く中世の騎士・貴族階級には、今、我々がなくしてしまった仁義といったものが根底に流れていたことを強く感じた。
貴族階級出身の主人公・アントニオ・デル・カレットの晩年の生き方にも注目して欲しい。

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