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カスタマレビュー
旅の虫が動き出す ( 2008-05-28 )
「アジアハイウェー」という国連事業があるらしい。日本も加わるアジア23カ国が調印してアジアの道を整備する事業である。その一号線は、起点が東京、終点がイスタンブール。つまり日本、韓国、中国、ベトナム、ラオス、タイ、ミャンマー、バングラディッシュ、インド、パキスタン、イラン、トルコを一本の道で結ぶ大事業だ。
政治を遅れをよそに、経済面ではアジアの共同体の試みはそのように具体的に動き出している。共同通信社の企画に乗って、下川祐治氏は、一人の青年とカメラマンを従えて未整備のハイウェーをバスの旅で走破する。
窮屈なバスで何日も車中泊をし、客引きにだまされ、と本の中では終始ぼやき通しである。でも「ぼやき」がどうやら彼の文章スタイルらしいということがわかるころ、私はここに書いていることを全面的に信頼するようになる。もしも、アジアバスの旅をするとしたら、この本は大いに役立つに違いない。(最もアジアの変化はめまぐるしいので、あと2〜3年という限定つき。)
なぜ信頼できるか。私が韓国、中国、ベトナムで彼とほぼ同じ失敗や経験をしているからである。
「韓国フェリーの雑魚寝部屋、布団の幅は60センチほどしかない。姿勢を正して寝る。」そういえばそうだった。狭かった。それが当たり前だと思っていた。
「中国の客引きの強引さは世界でもトップレベルだと思う」だそうだ。断ってもことわっても金魚のふんみたいに付いてくる。そんな経験も私はした。
ベトナムでは私は力車夫に約束した金額の10倍の額を請求された。断っても不気味についてくる。レストランに入る。店の前で待っている。負けてしまってその額を払ったことがある。それとほとんど同じ経験を下川氏もしているらしい。
言葉ができなくても英語と筆談でやっていく下川氏の「何とかなるさ」の旅心情を読んでいると、私はなんとも頼もしい。韓国仁川からフェリーで北朝鮮国境近くの中国丹東に渡る。朝鮮民族の住む町から北京を目指す。彼のように急がずにゆっくり旅をすればなかなか面白いコースではある。旅の虫がうずうずと動き出すような本である。
何を今さら ( 2008-03-06 )
下川氏自身、バックパッカー旅行自体が下火であることを当然知ってるだろう。
ネットの普及の影響か、点から点の旅行は健在だが、点を線でつないで行く旅というのは
もう若者には流行らないのだ。旅先でもその国より画面を見ていたほうが楽しいのである。
この企画はそんな旅の現状に対する逆説的な位置付けを狙ったものなのだろうか。
下川氏自身、そしてハードな地を這う旅の経験者であれば、日本からアジアを横断するのに
さほどの金がかからないことくらい、やる前から分かっていることである。
あの広大な中国大陸だって上海からカシュガルまで、バスだけ乗り継げば1万円ちょっとで
可能なのである。だから5万4千円というのは日本国内の移動費を差し引いても
さして驚くにあたらない予算である。いかに道中贅沢な食事をしないかくらいに
かかっていると言っていいだろう。
このようなトライアスロン旅行にもうどれほどの情報的価値があるとも思えないのだが
アジアの進化の現実を目の当たりにして、そのスピードについて行けない
ノスタルジックな元おじさんバックパッカーはつい「鼻白んでしまうのだ」
そして「もうこういった旅も終わりなんだな」とつぶやいては
汚れたザックを部屋の隅に置いてしまうのだろう。
アジアのバスの旅 ( 2007-12-12 )
2006年1月1日の共同通信配信記事「夢のアジアハイウエー紀行」を大幅に加筆したもの。後半は書き下ろし。
そういえば、この記事は朝日新聞の正月版に載っているのを、私も読んだ覚えがある。中国からトルコへ至るアジア・ハイウェイを取材したものだった。これは物資の輸送を目的にしたもので、けっこうな経済効果をもたらしているらしい。ただ、一方では経済格差にもつながってしまっているわけだが。
本書は、東京から福岡、韓国、中国、ベトナム、ラオス、タイ、ビルマ、バングラデシュ、インド、パキスタン、イラン、トルコと、ほぼアジア・ハイウェイに乗ってバス旅をしたもの。ほとんど全編がバスの中である。そのつらさが延々と語られている。このあたりは、アジアのバス・マニアである著者のお得意の分野だ。しかし、昔と比べるとかなり改善されている点も多く、一抹の寂しさを感じたりもしている。
安定した文章と鋭い観察で、安心して楽しめる一冊。
受け取り方の問題? ( 2007-11-03 )
この作者の旅行記を読むのはこの本が初めてなのだが、それがいけなかったのかもしれない。
作中で幾度も語られる回想に全て頷けるくらいに下川裕治作品を読み込んでいれば、また別の楽しみ方もできたのかもしれないのだが。
全体的に、「平坦」という印象を受ける紀行文。
表層的に観たことしか書いていません、といった趣だ。
その為か、同行者の影が少々薄く、煽り文とは些か温度差があるように感じられる。
ただ、それだけ淡々としている分、アジアの現在を眺めるには丁度良いのかもしれない。読者によってそれぞれの解釈の仕方ができるだろう。
そういった面も勘案して、トータルで★3つとした。
バス乗り継ぎ旅行記 ( 2007-09-02 )
タイトルに魅せられて購入したが
とにかくバスを乗り継ぐ描写だらけで
旅での人とのふれあいがほぼ皆無なので
読んでる途中で飽きてしまいました。
旅行中の人とのふれあいや事件が旅行記の醍醐味だと思うので
この本は私には全く会わなかったようです。残念。
