モロッコ流謫


モロッコ流謫

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モロッコ流謫

モロッコ流謫
四方田 犬彦
新潮社
発売日: 2000-03
価格: ¥ 1,995 (税込)
発送: 通常24時間以内に発送


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カスタマレビュー

4 「かのように」文芸批評から踏み出すために ( 2006-02-05 )
 モロッコについて調べる必要があり読んだ。著者はたくさんの本を出版しているようだが、私はこれまでこの著者の本を読む機会がなく、これが初めて読んだ本。冒頭にジャームッシュの紹介でボウルズに会いに行くエピソードがあり、有名人とお友達をひけらかすプチ大江か・・・と警戒したが、そしてそれ以降も多くの有名人が個人的知人として登場はするのだが、それほど嫌みには感じなかった。
 ジャンルとしては文学紀行と言うべきだろうか、モロッコを舞台とする文学、映画の紹介、批評、作家インタヴューなどが、著者自身のモロッコ旅行と重ね合わされ綴られている。モロッコを巡る文学的記憶として、文学旅行ガイドとして、よくまとまっていて便利。文章も流麗で独立した作品としての完成度も高い。
 ただし私個人の好みとしては、もっと自分の思考や感情を率直に書いてもいいのではないか、それが旅の面白さなのではないかと思う。この本の中で著者の思考が一番ストレートに表現されている下りは、砂漠を「観光」しながら「供儀」の観念や一神教的の遠さに思いを馳せるところだが、砂漠にいる間だけ突然(和辻哲郎?山本七平?)一神教への違和感を語り、肝腎の文芸批評にそれがさっぱり生きてこないのは、結局のところ日本知識人のお家芸、「かのように」文芸批評をやっているからと思わざるをえない。
 フェズの自称ガイドらガイジンを騙そうとするモロッコ人の心理や論理を考えているのは面白い。アンドレアス教授の挿話で、喜捨をしなかった自分を見つめているのも面白い。サイードよりずっと面白い。だからそれと流謫の文学者たちをつなぐ回路を見つけてほしいと思う。

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