終らない旅
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カスタマレビュー
難死の思想は深化したか。 ( 2007-03-03 )
相変わらず行換えの少ない冗長な文章と、これも変わ
らぬやや感傷的で共感しにくい戦争観とが続く前半は、
読むのが辛いはずです。しかし、脱走兵支援の実相、
「階老同穴」(熟年男女のカップリング)そして一同での
ベトナム旅行とが展開する後半は盛り上ります。それま
での辛抱です。
本書の著者も参加したベ平連の活動は無党派では
なかったとする(すが)秀実の評価(『1968年』)に異
存はないし、そこで語られた言葉の大半は既に失効し
ているとも思います。しかし、空襲による焼死と特攻死
を、無惨、無情、無念という意味では等価とする「難死
の思想」は、国家というものを相対化する視座として、
ある種の普遍性があったとわたしは考えています。そ
して、著者の前著『子供たちの戦争』(2003)を読んだ
とき、これを深化せんという思いを感じたので、本書に
その本格的展開を期待していました。
結論から言うと、それは不十分だったと思います。天
皇制の護持にこだわるあまり、和平交渉が遅れ、無意
味な空襲死者をだしたことの指摘や戦争は勝者、敗者
共に悲しみしか残らないという透徹した想いも語られる
のですが、難死の思想をより豊かにするまでのもので
はなかったと思います。
なお、テロの自爆死と特攻死(わたしの叔父は昭
和20年5月沖縄沖で特攻死している。)を同列に論
じる姿勢には、最後までなじめませんでした。特攻死
は、最初はともかくその後は成算のないまま惰性的に
続けられた単なる無益な命の消耗です。断じてテロに
賛成するものではありませんが、その限りでは目的を
効果的に達成している自爆死とは違うものだと思いま
した。
小田さんの今までの小説とはちょっと違うけれども良い ( 2006-12-13 )
今までの小田さんの小説とは違い、評論文やエッセイに書かれてきたことが小説になっている。小田さんの小説に今までなじみがない人でも入りやすい小説だと思います。小説も評論も大体読んできているので、小説といわれるとちょっととまどってしまいますが、小田さんの小説としては、珍しく一気に読むことができました。設定がかなり凝っているにもかかわらず、矛盾なく事柄が進んでいく様が読んでいて分かりました。さすがにこの道50年以上のベテラン小説家だと思いました。深い河当たりからこのような傾向の小説も書かれているので、絶対みんなに読まれる小説家にまもなくなると思っています。
