ポーの話
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カスタマレビュー
暖かくてぬるーい ( 2006-09-29 )
温かくてぬるい泥の河の中に
ぷかぷか浮いたような気持ちで
楽しむことが出来ました。
宮本輝の泥の河は、冷たくて流れが速そうだけど
ポーの話の中では、洪水の中でも、なんだか温かそうに思えるのです。
のんびり出来るときに読むのがおすすめ
犬じいさんだいすき。 ( 2006-05-14 )
小説家というのは、上手に嘘をつく商売だという言葉を聞いたことがあります。
今ちょうどこの「ポーの話」を読み終わったところで、この言葉が頭に浮かびました。
無数の優しいイメージの連鎖。詩のような文体。物語の根底を流れる神話的な世界観。
なんていう作者のまったく豊かな嘘も心地よいのですが、
小難しいことなんかより、登場人物がどれもすばらしく魅力的です。
あまりに純粋なポー。シャイなメリーゴーランド。
意地っ張りのひまし油。天気読み。犬じいさん。うみうし娘。
誰が読んでもきっと、頭のなかにそのひとだけの登場人物の
姿が活き活きと浮かび上がるでしょう!
それだけでも、十分楽しめると思います。
印象は残る、言葉の響きも、しかし、感動の質は… ( 2006-04-09 )
初めて読んだいしいしんじの作品を、心の中で数ヶ月暖めてみた。何か発酵・熟成する想いが自分にあるだろうかと考えあぐねて。読むことは一気にできた。この一気に読めるということが曲者だ。不思議な印象、何となく頭に響くフレーズ、言葉の響きにのせられて、それこそ河の流れに運ばれるように物語世界に浸り、その語り口に自分の感覚が半ば麻痺したようになる。
癒しと同時に呪いにも似た諦め、汚泥にまみれた神聖さと清潔さ、相矛盾するものが交錯して、何か高みに昇華する感覚。しかし、明確に意識される感動の質を探すことができない。
マクベスの魔女にだまされたかのような、実は実体があったのかなかったのか、今まで読んだ世界は何だったのか? という思いにさいなまれる作品である。こんな作品、こんな文体があったのかという驚きに比例した感動が得られないという、じれったい感覚を持つのは私だけだろうか?
力強く逞しく,今が旬! ( 2005-10-07 )
泥まみれのウナギを捕まえる生業の女たちから、泥の川に産み落とされた少年ポー。彼が川を下りながら、さまざまな出会いや経験をして、最後は、大きなウナギと・・・。さまざまな経験っていったって、いしいワールドでの出来事だから、目がまん丸、口はあんぐり。ところが、さすが京都大学文学部仏文学科専攻の語り口。丁寧な文章ですわ。なぜか、そこに自分がいて、ポーの横顔を眺めている気分になってくるから不思議。不思議。どこまでも優しいポーといしいさんの視線。母であるうなぎ女たちのポーを守り、愛する姿。真摯な瞳で、表裏なく他者と関わるポーの姿。
汚く、気持ち悪いと差別批判されるものにあえて光を当てて、どうどうと流れる水の存在が、力強く逞しく、どこまでも続く生命の持続を感じさせてくれます。今が旬の作家さんです。一度堪能あれ。
土用のうなぎは食べられませんでした ( 2005-08-07 )
ほとんど小説、というか物語は読んだことがなかった私ですが、友人にこの本を渡され、ほんとに久しぶりに読んでみました。本自体は読みやすく、一気に読んでしまったのですが、なんというか、後半みんな死んじゃって、ポーの孤独さが妙に心に残ってしまってしばらくしんどい思いをしました。作者は「こころの奥底で間違ったことをしない」というのを全うして生きていくことは孤独なんだといいたいのかもしれませんが、もうちょっとなんとか後味のよいものにならなかったのかな・・と軽薄な私は思ってしまいました。私が物語を読みなれてないせいもあるかと思うので、今後はいろいろ読んでみて自分の感受性を広げてみたいです。
