物語 ウクライナの歴史―ヨーロッパ最後の大国 (中公新書)
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カスタマレビュー
豊饒なるがゆえの過酷な歩み ( 2007-03-17 )
ウクライナなる国、日本人にとってお世辞にも馴染み深いとは言えません。小生も、麦がたくさんとれる穀倉地帯としてのイメージしか持っていませんでした。国や民族の歩みについても、恥ずかしながら、ロシア人の亜流か何かでソ連崩壊のドサクサで分派したくらいの認識でした。しかしながら、著者によれば、ウクライナは独自の文化、長い伝統、そして国運隆昌の記憶に恵まれた大きな存在だということです。目からウロコという感じです。
さて、本書は、中公新書の物語各国史シリーズの一冊であり、著者はウクライナ大使を務めた外交官です。役人の書く文章というものは味も素っ気もないというイメージがありますが、外務省の皆さんは例外なのでしょうか、本書の語り口は明瞭にして平易、ウクライナの「ウ」の字くらいしか知らない小生でも、比較的楽しく読みすすめることができました。
内容的には、スキタイの昔から筆を起し、この土地を舞台とした民族と人々の歩みを概観しています。キエフ大公国の栄光、リトアニアやポーランドとの確執、コサックたちの独立不羈の危害と運命のペレヤスラフ条約、長くて過酷な異民族支配と戦争・内乱の悲劇、そして350年ぶりの独立回復など。
こうした歩みを概観してみると、そもそもウクライナは誰もが食指を伸ばしたがる豊饒の大地であり、人口的にも資源的にも、東欧において抜きがたい存在感を発揮してきたことが分かります。他方、それまでの大国的資質を備えながら、自らが一方の雄として立つことができず、近隣諸民族によって翻弄され続けてきたのは一体何故なのかと慨嘆せずにはいられません。国家の主権と独立を全うする上で一番大切なものは何か。そんな堅苦しいことを考えさせられる一冊でした。
視点を変えると ( 2007-01-13 )
ロシア周辺の歴史は、モスクワ中心に割り切ってみる見方もあるが、本書は視点をウクライナに置く点でユニークである。ロシアと思っていた事柄が、実は、あれもウクライナ、これもウクライナといった具合にその容貌をかえていく。
第二次世界大戦だって、ドイツだけが悪人でもなさそうで、ポーランドも、チェコも、ハンガリーもウクライナをばらばらにするうえで力があったらしいし、ソ連にいたっては独立の敵。
視点の重要さを思い知った。
好著!! ( 2004-03-28 )
例えば「ありがとう」はロシア語で「スパシーバ」なのに対し、ウクライナ語では「デャークユ」だというように、“ウクライナ語”というものがあることを知った時、ウクライナの歴史に興味を覚えた。そして出会った本書だが、日曜日の朝に手に取り、その日の夜までに一読してしまった…
「物語 ○○の歴史」シリーズは、各々に工夫して世界の諸地域の歴史へ読者を導いてくれる好著が多いが、これも例に漏れない!!
神話や伝説の昔から、年代記が綴られている中世、近世、近現代、そしてウクライナが独立国になった最近に至るまでが通史的に語られている。“国”を有しなかった時期が長いだけに語り難いかもしれないウクライナの歴史だが、非常に概観が掴み易いまとめ方である。
これは歴史学者による著作ではなく、外交官による「ウクライナを日本にご紹介」という著作であることも手伝い、非常に読み易い。交流が始まって、歴史も浅いウクライナだが、何かで「ウクライナ」と聞いて興味を覚えた方には大いに勧めたい!!
ウクライナの苦節を知る良書 ( 2003-10-13 )
肥沃な黒土の穀倉地帯、旧ソ連で最大の重工業地帯と恵まれた環境にあったが故に、逆になかなか独立国家を確立できなかったウクライナ。こうして見てみると、ウクライナという地域で起こった数々の事件のヨーロッパ史における重要性を再認識できると同時に、ウクライナの歴史はロシア・ソ連の歴史そのものであったと確信させられます。著者の方は現役大使の方で、文章も平易で記述のバランスがよく気軽に安心して一気に読めますし、新書の特性を生かした好企画だと思います。ウクライナに関心ある方、旅行を予定してる方、ちょっとでもロシアに興味のある方にも、一読をお奨めしたい一冊です。
もうひとつの「ロシア」であるウクライナを知るための格好の通史 ( 2003-09-22 )
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