ドット・コム・ラヴァーズ―ネットで出会うアメリカの女と男 (中公新書)


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ドット・コム・ラヴァーズ―ネットで出会うアメリカの女と男 (中公新書)

ドット・コム・ラヴァーズ―ネットで出会うアメリカの女と男 (中公新書)
吉原 真里
中央公論新社
発売日: 2008-06
価格: ¥ 819 (税込)
発送: 通常24時間以内に発送


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カスタマレビュー

4 たぶん著者は、「ケミストリー」に打ち克ちたいんだと思う ( 2008-11-24 )
 「価値観も知的な関心も性格も合っている相手と、関係を深めていくための努力をする意思がお互いあって、それでもやっぱり乗り越えられなかったものが、具体的に言葉で説明することのできない、直感的な違和感だとしたら、それほど悲しいことはないような気がする」(p232)という一節が、私には印象的だった。ああ、この著者は言葉によって表現しきれないもの、知性によってコントロールできないものに対して、基本的な苛立ちを感じる人なんだナ、と思った次第。だからこの著者は「左翼」なんだ、とも。
 著者は本書でmatch.comで出会った20人ほどの男性について報告しているけど、これ、記憶だけで書いてるんじゃないですよね? 日記とか、ことによるとノートを取っていたんじゃないか。自分の研究のためにインタビューも多くこなしているらしい著者は、他者との関係を意識的にコントロールしたり、他者と自分との関係を客観的に評価したりすることに馴れているのだろう。すべてが取材だったとまでは言わないけれど、恋人探しに埋没していたわけでもなかろうとも感じる。
 ただ、著者がどうして他者に対するそういう構えの中にいるのかは、興味深い問題ではないか。著者の生い立ちの詳細は知らないが、共同体に埋没するようなアイデンティティを備えていないことだけは確かで、共同体側からはデラシネと見えるかもしれないタイプだと想像する。
 本書で著者は何度も、「ケミストリー」に言及している。そしてその度に、著者は何だか当惑しているように思える。少なくとも、「ケミストリー」の神秘をロマンチックに謳い上げたりはしない(それって「右翼」のすることだしね)。で、私が思うに、「ケミストリー」って根っ子のことなんだよ、きっと。

5 ジェラルド・カーティス流アメリカ文化学 ( 2008-10-30 )
タイトルだけで売ろうとする新書はこの世に数知れないが、わざと地味なタイトルにして内容で驚かせる新書は非常に珍しい。読んでみて、こんな”楽しい”本は、久しぶりに出くわした。通勤電話の中で、ところどころなるほどと思ったり、ときには笑いをこらえながら、もったいないので少しずつ読みました。

中公新書で、アメリカの男女論なんて、どうせ、また簡単なことをこ難しく書いた、衒学的な本で、どうせ10ページも読めば、放り出すに違いないと思いつつ、読み始めましたが、さにあらず、アメリカ人政治学者ジェラルド・カーティスが自民党議員の選挙活動に飛び込んだように、オンライン・デーティングの現場に飛び込んで、生身のアメリカ人との接触から、アメリカ文化論を解説するという型破りの手法にたまげました。

もちろんアメリカ文化を専門とする筆者のこと、冷静になって(ときに暑く)語るアメリカ文化の指摘は鋭いのですが、それ以上に登場するアメリカ人のユニークさがおもしろい。

日本だと、出会い系サイトとか、有害情報のたぐいで、常識的な社会人は眉をひそめる話だし、ここまでプライバシーを公表するのはどうかなと思いますが、ここまでくると常識とか、偏見を飛び越えた勇気を賞賛するしかありません(あきれてものも言えない、ともいえる)。

なお、個人的には年齢的にサバを読んでいた同僚の大学教授の「何てこった!」が、一番おもしろかったです。はい。

4 大変興味深く読んだが、中公新書である必要はなかったのではないか? ( 2008-10-19 )
 インターネットで交際相手を探すシステムを著者自身が実際に利用してみて、そこで出会ったアメリカ人男性を通してみつめた米国社会を描いた書です。

 本書は社会学やルポルタージュの類いの書ではありません。綴られているのはあくまで著者自身の個人的体験談であり、ネットで出会うアメリカ人男女一般を描いているわけではありません。
 その著者はといえば、NY生まれで東大卒。ブラウン大で博士号を取得し、現在はハワイ大でアメリカ研究学部の教授をしています。
 交際相手を探すサイトで著者は自己プロフィールとして、政治志向的には左寄りであり、トニ・モリソンを誰だか知っている男性を希望するといったことを記しています。そうした著者の個人的特徴に魅かれた複数の男性との交際を綴ったのが本書というわけです。

 ですから、著者の交際相手としてここに登場するアメリカ人男性が代表しているのは、おのずとアメリカ社会のごく一部にすぎないことがわかります。
 だからといって、私は本書を低くは評価しません。さすがにアメリカ研究を生業とする著者だけに、アメリカの一部とはいえそうした男性を分析する筆致には大変説得力があります。

 著者のつきあう男性のほとんどが、冷静に著者との交際そのものを分析する努力をし、別れに際しても「なぜこの交際を打ち切るのか」理路整然と著者に説明しようとする姿に、感心してしまいました。「大人のつきあい」かくあるべしという気がします。

 しかし私は中公新書のことを、ひとつのテーマを包括的に描き、短時間で要点を抑えながら通観できる格好の新書シリーズとして高く評価してきました。
 その中公新書のラインアップに、果たしてこうした個人的体験だけでまとめられた書がふさわしいかは疑問に感じました。
 出版社は、著者にもっと別の場所を用意するか、著者以外の人々の体験も社会学的に調査・取材するよう助言すべきだったのではないでしょうか。

4 30代後半のキャリア・ウーマンが伴侶を得ることの困難さを実感 ( 2008-10-17 )
 終身雇用待遇を得た大学教授が、アメリカ版「出会い系」であるオンライン・デーティングで知り合った複数の相手との、セックスも含めた出会いから別れまでを描いた本である。日本では、大学教授というお堅い職業の人が、女性であれ男性であれ、男女関係に関する実体験をここまで赤裸々に明らかにすることは考えられない。改めて、アメリカ社会の開放性と許容度の広さを感じた。悪趣味かもしれないが、本書には、他人の私生活をのぞき見る面白さもある。
 著者の容姿に興味が湧いて、ハワイ大学のウェブ・サイトでチェックしてみた。なかなかかわいくて魅力的な女性だ。加えて、教養もユーモアのセンスもある著者のような30代後半のキャリア・ウーマンが、気に入った相手と恋に落ちて、結婚することの難しさを痛感させられた。それにしても、セックスも含めて数か月付き合った男性や、「相性ピッタリ」と恋愛感情を持った男性、数か月間同棲した男性など、たった2、3年の間に何度も別れを経験したにもかかわらず、著者の語り口は最後まで明るくて積極的。著者の今後の私生活がどうなっていくのか、ちょっと興味が湧いた。

4 楽しんで書いたインテリ向け出会い系でのてんまつ ( 2008-10-16 )
 バーバラエーレンライクの「ニッケル&ダイムド」の読者だったら自らが低賃金労働者になりすまし、その周辺をさぐったルポをかいたことを記憶されているかもしれない。
 本書「ドットコムラヴァーズ」はハワイ大学教授である著者(40歳女性独身)が、米国版出会い系サイトに登録して経験した出来事をつぶさに、ざっくばらんに比較文化的アプローチで書いた全256頁の新書。

エーレンライク氏は著作のために本来ならする必要のない過酷な現場での労働体験をしたはずである。
一方、吉原氏はいろいろな意味で、楽しんで楽しんだ挙句、このような本を世に出した。平均的な日本人に向けて書かれた本と見る。
「ドットコム〜」の225頁にあるとおり、著者は「........相手のことをよく知るためには性的関係をもつのが大事だとも思う。」 という
(一昔前ならこういう表現を使った)「とんでる」最高学府のテニュア付教員である。

この出会い系に関して、個別にかんばしくない結末になったケースでも、個人的にはとらず、こんなところだろうと解釈する、大陸的鷹揚さの持ち主で、国籍は日本らしい(推察であるが)が、文化的にはブラシひとはけぶんくらいしか日本人的な感じがしない、
ニューヨークで生まれ、東大およびブラウン大出身の、学者さんである。

お相手は多数、プロフィールに大学教授であることをはっきり書いているため、CNNのプロデューサーとか、劇作家、建築家などなどがその職業の一部。なかには一緒に暮らしてみた相手もいる。相手は当然離婚経験者あり、バイセクシュアルらしき人物もいる。

まさに「人生いろいろ」だ。  年齢も幅広い。 

アジア系ばかりをえらんでつきあう、「オリエンタリスト」についても
かなりの頁がさかれている。当然すべて仮名なので人物写真の1枚もない。ひたすら
叙述に任せて想像力を巧みにするしかないところが、本書の長所でもあり短所でもある。

本書で疑問に思ったこと:

それは、彼女自身の親兄弟に関する記述がいっさいないこと。本書の主題とはirrerevantということで、必要なしか。とはいえ、読者の多少の好奇心をみたしてくれるかなという、あわい期待にまったく答えてくれない。その点が物足りなかったが、ユーモアたっぷりで、文章もうまい。つっこみどころもさすが学者で、あきさせない。文章スタイルも硬軟とりまぜ、読ませる。   それで、星は5つ中、4つをつけたい。
今の女子大生あたりが読んだらどんな感想を抱くか、興味深い。

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