背教者ユリアヌス (下) (中公文庫)


背教者ユリアヌス (下) (中公文庫)

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背教者ユリアヌス (下) (中公文庫)

背教者ユリアヌス (下) (中公文庫)
辻 邦生
中央公論新社
発売日: 1975-01
価格: ¥ 860 (税込)
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カスタマレビュー

5 独特の流麗な文章に酔いしれよう ( 2008-08-28 )
 最初に読んだのは、高校受験から解放された時だった。美しい日本語で語られるローマの世界に引き込まれ、文庫3巻を一気に読んだ。後に知識がふえてから読み返せば、何もわかっていなかったことを思い知らされ赤面するが、そういう子どもをも自分の世界に引き込む、不思議な魅力を持った作品である。
 比べてはいけないかもしれないが、女性の塩野七生氏のローマものが、どこかサラリーマン向けというか教訓的な感じがあるのに対し、こちらはそういうものは一切感じさせない、純粋な一大叙事詩だ。書かれている時代が短いのでローマ全史入門というわけにはいかないが、流麗な文章に酔いしれることができて知識もちょっとふえるという、お勧めの作品である。

5 皇帝ユリアヌスの無念の死 ( 2007-04-10 )
3巻に分かれたこの大傑作も遂に最終巻を迎える。本巻もユリアヌスの劇的な生涯を余すところなく伝えて読者を飽きさせることがない。皇帝コンスタンティウスの政策に反発したガリア兵たちによる皇位登極要請の受諾およびその決断に至る苦悩、東方への進撃、コンスタンティウスの死による帝国の統一の実現、宮廷政治の革新(彼の足をこれまでひっぱってきた者達の処罰は痛快)、運命のペルシア遠征出発、笛吹けど踊らぬローマの神々復活政策の不成功およびその象徴たるアンティオキアのキリスト教徒との対立、ペルシアへの侵攻およびその失敗、そして異国の地で迎える死。こんなに短くも波乱に富んだ生涯を送った皇帝は他にいるだろうか。忠臣たちに囲まれての臨終は、まるでギリシャ神話の英雄の死であるかのごとく、悲しくも気高い。そして彼の遺骸を皇帝旗につつんでローマ軍がペルシアを去る姿は、高い理想を掲げつつも、成し遂げられなかったことがあまりに多いユリアヌスの無念といつの時代にも変らぬ諸行無常を感じさせずにはいられない。この壮大な小説の最後を飾るにふさわしい最終巻と言えるだろう。

5 ロマンチックな叙事詩的大著 ( 2001-09-09 )
あまりにも美しく、精密な言葉で読み手にローマへの感慨と渇望を呼び起こさせる大著です。叙事詩的な言葉遣いにも圧倒されますが、なによりも綿密につづられた史実に正確なストーリーと、えも言えぬくるおしい思いを感じさせる登場人物の個性にそのすばらしさがあります。一つ一つの台詞は時には葡萄酒様にの甘く、時には稲妻のように戦慄をともなって広がり、物語をよりロマンチックにもり立て心を高ぶらせるのです。ある程度は登場人物についての知識が必要となる場合もありますが、ローマ帝国について興味をお持ちの方、又そうでない方も、堂々とお勧めすることができる一冊です。

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