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カスタマレビュー
波瀾万丈の古典的チベット潜入記が1冊で堪能できる ( 2004-10-11 )
今なお「秘境」と呼ばれるチベットに、100年以上も前に潜入した僧侶、河口慧海の旅行記。もともと周囲を高山に囲まれたアクセス困難な場所だが、その上、当時のチベット政府は鎖国政策をとっていた。日本には伝わらなかった、インド直伝の仏教のエッセンスを求める熱意が、とてつもない潜入行を可能にしたのだ。
……というと何やら小難しそうだが、次々と降りかかる試練に、僧侶としてのストイックな姿勢で立ち向かっていく様は、時にユーモラスですらある。実際、発表当時は大ボラ吹き扱いされたほど、波瀾万丈の面白さ。異文化に対して物わかりがよすぎる昨今の旅行記とは違い、不快なものは不快とハッキリ書く率直さも痛快だ。
慧海の『チベット旅行記』は、講談社学術文庫の5巻本をはじめ、これまで何種類かの形で刊行されてきた。本書はそれを、とっつきやすい形で1冊にまとめた抄本だ。抄本ながら、慧海節のツボを存分に堪能できると思う。
なお、慧海のチベット行をめぐる時代背景、そして同時代にチベットを目指した日本人たちについて、さらに興味をもたれた方には『チベットと日本の百年 十人は、なぜチベットをめざしたか』(新宿書房)もお勧めだ。
