のりたまと煙突
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カスタマレビュー
人生のテーマをディープにえぐる"ライト"なエッセイ集 ( 2007-02-14 )
ほのぼのしたり、ドキっとしたり、心にぐさっときたり・・・。そんな感動の連続でした。
読みやすいエッセイ集ですが、中身はとても深くて刺激的な本です。
本書は、作者独特の純粋な感性で現在と過去の身近な出来事を描写しながら、まっすぐな視線で「人生」を見つめています。というより「葛藤」している表現の方が適切かもしれません。
「転がる香港に苔は生えない」や「謝々チャイニーズ」を読んだことのある星野ファンなら、本書に裏切られることはないでしょう。1,850円はちょっと勇気が要る値段ですが、けっして高くないと思いました。
星野ファンでなくても、読み手のそれぞれの立場によって、いろいろな貴重なもの(違った見方、考え方、感動、・・・)を見つけられる本だと思いました。
あえて気になったことを書きますと、帯の表に「遠ざかる昭和---私たちは何を得て、何を失ったのか?」とありますが、これには違和感を感じました。私の読み方が間違っているかもしれませんが、作者にとっての本書のテーマは「記憶」ではないと思うのです。
同じ理由で、最終章の「よくばりな記憶---あとがきにかえて」にも違和感を感じました。これって、編集者が作者に無理に書かせたものじゃないだろうかと邪推してしまうような、取ってつけたような印象がありました(本当のところはわかりません。間違っていたらすみません)。
でも、こんなことは本書にとっては小さなことかもしれません。それくらい中身のある本だと思いました。
個人的には、星野さんはもっと注目されてもいいのになと思います。のんびりペースでもいいので、長く書き続けてほしいものです。
中年女性のふわっとしたエッセイ ( 2006-10-28 )
最後の節「よくばりな記憶ーあとがきにかえて」はそれまでの自然体
からちょっと力んだ文章になっていますが、作者の生き方考え方が表
れていて好きです。
作者は大の猫好きで、ぽつんと寂しげな人やおばあさんに関心があり
ます。文章から優しさ、親切さ、良識が伝わってきます。死にまつわ
る話も多いのですが懐かしさをこめて事実として受け止めています。
記憶力が良いのか、ある出来事をきっかけに思い出が糸をつむぐよう
に引っ張り出されます。
のりたまは「のり」「たま」という猫の名、煙突は銭湯の煙突。
癒し系の作品です。
ますます星野ワールドにはまっていく私 ( 2006-10-04 )
「転がる香港に苔は生えない」で著者にはまりました。順は逆でしたが「謝々チャイニーズ」も素晴らしかった。「銭湯の女神」で、初めて国内での生活を見つめた内容にさらにはまり、この「のりたまと煙突」では、日ごろ感じた事、言いたい事がたくさん文章になって語りかけてきます。あ、そういう事だったのかも・・。と改めて考える事もあり、押しつけのない自己啓発本ともいえると思います。かつて自由を追求した人へ、今も求めている人たちへ、ぜひ、お薦めします。
自分にほうびをやりたくなる人間になってみたいものだ ( 2006-08-02 )
「自分にほうびをやりたくなる人間になってみたいものだ」この一文は
本文からの抜粋である。
つまり、この言い回しがこのエッセイの醍醐味だと思う。
昨今、己に酔う作家が多いなかで、客観的な視線と、少し毒を含んだ文章、
多少おばさんっぽい感情が目立つ部分もありますが、肩の力を抜いて愉しめるエッセイです。
