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カスタマレビュー
大国と支配者との構図 ( 2007-02-16 )
現在、サウド家の王族は直系、傍系あわせて9400人。
これらの王族が給与として国家から受け取る金額は年間20億ドル、その他に国王は15億ドルを王子たちにばらまいており、さらに総額で20億ドルにのぼるといわれる石油を実物で配分、さらに電気、水道、電話はすべて無料、航空機利用などは家族も含め無料である(10億ドルに達する)。
つまり、全人口の0.04%の王族が、サウジアラビアの国家予算の8.5%を受け取っていることになる。
さらに若年層の王子の数が非常に多く、王族のための財政支出が国家にとって大きな重荷となってきている。
これらの事実だけを見ると、国家として非常にいびつな構造のように見える。
しかし、このように王族が多い背景には、王国の建国の歴史と、中東における欧米の権益の争いとそれにしたたかに手を組むアラブの支配者層という構図が存在する。
特にアメリカとの関係において、現時点での中東におけるひとつの国際力学的、地政学的帰結として、このサウジアラビアという国家に注目することは、中東の将来像を考える上で重要だと感じた。
サウジアラビア史 ( 2006-02-25 )
サウジアラビア建国史を、
サウド家の興りと発展を中心として、記されている。
サウジアラビアの国家としての異質性、石油政策、
ワッハーブ派(本書ではワッハーブ宗)との関係、
国内政治体制などについて書かれている。
9.11前に出版された本であるが、
ウサマ・ビン・ラーディンについてプロローグで言及されており、
その動向を理解するのにも、参考となる。
斜陽を迎えはじめた中東の盟主サウジアラビア ( 2003-09-28 )
米国が確認している限り、同時多発テロの犯人にイラク人はひとりもいない。アルカイダの中心メンバーはサウジアラビアをはじめとするアラブ産油国出身者である。本書にも言及があるが建国の父イブン・サウドの代からアラブの盟主サウジと米国は一貫して友好関係にあった。このサウジが最近不安定である。もとをただせば宗教改革運動のワッハーブ派と手を結び、アラビア半島の覇権を握ったベドウィンのひとつに過ぎないサウド家の支配自体が、もともと王族を認めないイスラームの聖法に反すると原理主義者の反感と憎悪をかっている。王家を支持してきたのが石油利権と絡む米国であるが、同時多発テロとイラク戦争以降、両国の関係は微妙になっている。王族の中にアルカイダのパトロンがいるとさえいわれ、!サウド王家の支配はいずれ終焉するとまで言われはじめてきた。中東に石油を依存している日本としても、サウジを注視するための基礎的な知識は欠かせない。
繁栄の影 ( 2002-06-26 )
著者は、毎日新聞勤務中に、カイロ支局や外信部に所属した経験があるそうです。この本は、冒頭に書かれたように、なぜサウジアラビアから、国際テロリストが出ることになったのか、という問題意識の下に、サウジアラビアの抱える問題を浮き彫りにしたものであるといえるでしょう。近代化の過程で、石油のもたらす富に群がり、腐敗や汚職を行ってきたサウード王家は、本音ではイスラムを蔑むような行為を繰り返してきました。さらに、湾岸戦争を契機に、国内に異教徒であるアメリカ人を招きいれたため、イスラム原理主義者に激高された上、民主主義的措置も導入せざるを得なくなりました。しかし、こうした試みも、現在のところまだ建前の域を出ていないようです。 サウジアラビアという豊かな国の影を知る上でも貴重な本だと思います。
国名に王族の名前がついた珍しい国 ( 2000-11-08 )
現在の国境線からは見えてこない砂漠の国のリアルな姿が浮かび上がってきて楽しめる本でした。 国名に王族の名前がついた珍しい国の誕生の経緯やアラビア地域を中心に見た二十世紀を追いかけてみると、これまで学校で習ってきた西洋中心の世界史とはまた違って姿を見ることができて、まるで旅行してきて新しい価値観に触れたような気にさせてくれます。
いままでこの地域に興味のなかった方にも楽しく読めるのではないでしょうか。
