ちびの聖者 (シムノン本格小説選)


ちびの聖者 (シムノン本格小説選)

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ちびの聖者 (シムノン本格小説選)

ちびの聖者 (シムノン本格小説選)
ジョルジュ・シムノン
河出書房新社
発売日: 2008-07-11
価格: ¥ 1,785 (税込)
発送: 通常24時間以内に発送


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カスタマレビュー

5 シムノンの異色傑作 ( 2008-10-28 )
 シムノンは「本格小説」(って何なんだと、本格派推理小説という言葉よりパズラーとか謎解きという方を好む自分としては思ってしまう)でも、『雪は汚れていた』や『仕立て屋の恋』のように一つの事件を中心にした話が多いのだが、その意味ではこの作品は異色作といえるだろう。それぞれが印象深い断片的な思い出を年代順に次々に積み重ねていくことで、さらに豊穣な小説世界を生み出すシムノンの手際はすばらしい。ちょっとしか登場しない人物たちさえ、忘れがたい印象を残す。
 ただ、「バルザックを彷彿とさせる」という紹介文は、『ゴリオ爺さん』しか読んでいない自分にはピンとこなかったのだが。

5 貧しくても母と子を結ぶ強い絆に心が震える程の感動を覚えました。 ( 2008-07-28 )
日本では名探偵メグレ警視シリーズで有名なフランスの文豪シムノンの本格小説選と銘打たれた小説(ロマン)紹介の第2弾です。著者は全部で220編の長編を執筆していまして、メグレ警視物は84編で普通小説の方が136編と多いのです。日本では過去に集英社文庫で文芸小説が数編訳された後は、やや不活発な状態でした。河出社はメグレ警視シリーズが日本でTV放映される程ヒットした時期に精力的に紹介して来られましたが、今回は小説(ロマン)にスポットを当てて知られざる本邦初訳の名作を刊行して頂けるとの事で、とても意義深い企画だと思います。本書は推理物に見られる犯罪者の心理を暴くといった内容とは全く違いますが、登場人物の心理が鮮やかに描写されており、それぞれの人生模様が深く心に刻まれる見事な作品です。物語はパリ、ムフタール通りの貧しい露天商の一家の暮らしを、主人公ルイが幼い頃の記憶を基に回想する形で進みます。手押し車で毎日市場へ野菜を売りに出て生計を立てる母ガブリエルは、夜男を家に連れ込んで多くの子供を産み続ける奔放な性格ですが、子供達への愛情は深く細やかです。ブラディミールは長男で万引・スリを平然と犯す小悪党、次いで兄弟の面倒見が良い長女のアリス、次が反抗的で不満を抱える双子の兄弟オリヴィエとギイ、次がちびの聖者ことルイで学校で苛められても告げ口をせず、穏やかな微笑を浮かべる少年、最後が赤ん坊のエミリーで病に感染して亡くなります。手狭な部屋がやがて子供達が出て行って広くなり皆それぞれに暮らしが豊かになります。しかし次第に空虚さが漂い寂しくなる場面を読んで、必ずしも豊かである事が幸福を意味しない事に気づきます。ルイは成長して抽象画家という天職を見つけ、利益の為でなく己の理想とするきらめきを追い続けます。私は特にルイが温かい心配りでずっと母親の幸せを守り続けた姿勢に心が震える程の感動を覚えました。

5 聖者ルイ ( 2008-07-21 )
主人公のルイはとても温厚な性格。カラマーゾフのアリョーシャにちょい似かしら?シムノンの自伝的要素もある作品、らしいんですがシムノン同様才能が開花してよかったねぇ、と思いました。証人たちもよかったし、もっとシムノンの作品読みたいです。楽しみ!

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