石油の終焉


石油の終焉

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石油の終焉

石油の終焉
ポール・ロバーツ
光文社
発売日: 2005-05-23
価格: ¥ 3,150 (税込)
発送: 通常24時間以内に発送


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カスタマレビュー

4 「使わない」ことへの転換が求められているのかもしれない ( 2008-07-30 )
このレビューを書こうとする時、あるいは書いている時でさえ、私たちは石油を消費している。
既に『石油の終焉』という製本される段階で多くの燃料を使い、
さらに、レビューを執筆する際には、PCの電源を通じて、電気を使い、
また、家の中の電灯を照らして再び電力を消費している。

本書では、新しい技術とコスト面との折り合いがつかないと、
新技術への移行はかなりの時間がかかってしまうことを現実的にとらえている。

日本ではかなり進んでいると思われる「省エネ」技術も、
コスト面での競争力がなければ、やはり導入には二の足を踏むと言う。

とりわけ、アメリカでは経済成長と資源消費を同一視線で語ることが多く、
一方を犠牲にする政策はかねてから一切議論に上ってこない。
(最近は民間レベルでの突き上げが著しい)

というのも、政権サイドに多額の献金をしている団体が、
石炭・石油・自動車といった大口資源消費を前提とする企業群だからである。

現政権のブッシュ氏も温暖化対策にはかなり後ろ向きなのも、
こうした団体の後ろ盾があってだと考えれば、
頷けないことはない。

しかしながら、世界最大級の二酸化炭素排出国であるアメリカが環境に力を入れないと、
新興国に対するインパクトはやはり薄くなるといわざるを得ない。

アメリカと同じように、二酸化炭素を大量に排出する石炭を
火力発電所として建設を進めている中国やインドに対して、
説得力ある行為ができるかどうかは、やはりアメリカにかかっている。

設備の省エネ化、硫黄分の除去などといった技術が、
政府による規制とともに進んでいかなければ、
既に進行している温暖化現象を緩和することはできそうにもない。
(今すぐ排出をやめても、既に排出されている炭素が温暖化を進める)

加えて、温暖化によって得をする国ロシアの動向も目が離せない。
北極海の氷が解ければ、資源開発・輸送に活路を見いだせるからだ。

さて、ここまで書いてきて、電力消費を通じて、
どれだけの石油資源を消費することになたのだろうか?
「使わない」こと、勇気ある選択をそろそろしなくてはならないかもしれない。

5 とりあえず全体像をつかみたければ ( 2006-12-02 )
 化石燃料の量としての限界の話、温暖化などの環境への悪影響、供給の政治的不安定性、代替エネルギーの可能性と不確実性など、まあとにかく現在ある、または現在予測されるエネルギーに関する問題をとにかく網羅している本であると思います。「エネルギー問題ってなんか複雑なのは分かるけどよく分かんない」という人にはそれがどんなもので、現状はどうなっているのかということを理解する大きな助けとなってくれるのではないでしょうか。まあ完全に理解するのは不可能ですが。それだけ複雑な問題ということでないでしょう。
 本書の著者は決して希望的観測を並べたりはせず、その未来予報は具体的かつシビアです。一部著者なりの「明るい未来を築いていくためのマスタープラン」が描かれている箇所もありましたが、そこだけは妙に説得力が欠けていたような気がしてしまいました。未来は明るくないですね。

5 石油の価格が今の2倍になる前に読みたい ( 2006-08-27 )
客観的なデータを提示しつつ、読者に石油の終焉についての問題を提起する本。

エネルギーの歴史を、英国の蒸気機関による動力の発明から、風力発電、そして水素による燃料電池の開発の現状に至るまで紹介することで、読者に石化エネルギーに頼って発展した現在の世界経済の仕組みを明らかにする。
同時に、過去100年の世界大戦や数回に及ぶ湾岸の戦争が、石油によるエネルギーネットワークの確保とその覇権を取ろうとする国々によるものであると説明し、石油がエネルギー問題という単純な問題ではないことも読者に証明する。

その上で、燃料電池や太陽エネルギー・風力発電という代替エネルギーへの期待や、それらを取り巻く開発環境にも言及し、今後のエネルギー問題にどのようなことが起こりえるかを予想している。
(水素エネルギーの仕組みや問題点などは非常に分りやすい。)

単に各国の立場について紹介するだけではなく、エネルギーに関わる人々のエピソードがちりばめられ、臨場感のあるストーリーが出来上がっている。それにより、アカデミックな立場からだけではなく、人々の視点からも、今世界で何が起こっているかを理解することが出来る。

特に、ロシアと中国で起ころうとしている変化は、視点が新しく学ぶところが大きい。

残念なのは、日本では非常に大きな比重を占め、世論の問題認識も高い原子力発電についてはほとんどページが割かれていないこと。
確かに世界的な電力供給の割合ではまだ限られ、またチェルノブイリの事故以来、積極的に原子力発電を推進すべしという声は小さくなっているが、将来のエネルギーとしての検証はすべき選択肢ではないかと思う。

ただし、原子力についての記述が少ないことを除いても、客観的なエネルギー環境とこれからの世界に対しての問題提起は非常に価値のあるもので、石油・車業界に関わる人以外も、今後の世界が何処に向かっているかを知る為に是非読んでいただきたい。

石油の採掘がピークを迎えて、価格が今の2倍になってから何が起こっているのかを理解するのではなく、一人一人が現実を理解し、何をするべきなのか、考える必要がある。
そして、本書は現実を理解する為の、客観的で詳細な情報を読者に提供するであろう。

5 新エネルギーへの転換は遂行されるか ( 2005-08-02 )
第一次石油危機から30年以上経過してなお、石油をめぐる国際的な混乱は絶えることがない。
大国アメリカは経済優先主義の名の下、世界の石油に強く依存している。
それでなお炭酸ガス削減を定めた京都議定書を遵守しようとせず、傲慢さを感じていたのであるが、本書を読むと議定書の画一・横並びの目標設定にも問題があるとしている。
世界が自国のみの利益にとらわれず、地球環境を考えることができればクリーンなエネルギー技術に移行できると考えるのだが、発展途上国から見れば実はそれも一種のエゴなのかも知れない。
エネルギーをめぐる世界の動きを知る良書である。

4 古くて新しい話。 ( 2005-05-30 )
エネルギー近現代史から昨今の石油・ガス市場動向、
新世代エネルギーの可能性を総括的に論じた書。
読者の多くは化石燃料枯渇「後」の社会の変容を
知りたくて本書を手にすると思われますが、風力発電
や燃料電池を含め「市場に委ねる」ことの限界、政治的
イニシアチブの必要性が説かれます。「石油の終焉」は
いわば古くて新しいテーマではありますが、最近の原油
価格急騰は本書が警鐘を慣らす将来の需給逼迫をようやく
市場が織り込みはじめたことの表われなのかもしれません。
エネルギー史や推定埋蔵量に言及した前半はエネルギー
関連書を多少読んでいる方には冗長に思えるかも。
裏返せば知識ゼロの人もアタマからどんどん読んでいくと
この業界のことが一通りはわかると思います。

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