カブール・ノート―戦争しか知らない子どもたち (幻冬舎文庫)
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カスタマレビュー
クールに現実を描写する、インパクトのある良書 ( 2008-01-10 )
アフガニスタンは2001年9月11日以降に注目を集めるようになったが、当地における悲惨な状況はそこから始まった訳ではない。国連職員としてアフガニスタンに触れ続けた著者による散文的なエッセイである。ほとんどの話は9.11以前のもの。とにかくインパクトのある良書である。
そこには、偽善とは言わないが、アメリカの論理による独自の善によってもたらされた現実がある。著者の見方は非常に適格で冷静で謙虚で、芯を突いていると思われる記述が多々見受けられる。
*「善玉」と「悪玉」の闘争という漫画的なフォーマットに安住するメディアの報道には、カブールの「悲愴」を伝えようとする意思は微塵も感じられない。
*座標のない民族には一切の発言権も、存在価値も、ましてや尊敬も、暗示的であれ明示的であれ、存在しない。
*人権は、最初に使った方が勝ち、という極めて反人権的な言葉として強烈な威力を持っている。
「売却されるアフガン女性の尊厳」という話も心痛いものがある。一方的な論理ももとに行われると「善意」も時にたちが悪い。
文化論として価値が高い内容を含む。いい本だ。
