排出権取引とは何か (PHPビジネス新書)
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排出権市場の価格メカニズム―欧州にみる排出権取引の実態
カスタマレビュー
排出権取引において日本は大損している ( 2008-10-24 )
「京都議定書は人類にとって大きな意義がある。しかし、同時に問題点もとても多い」ことを学べる一冊。
とりわけ、「大金を投資する日本」と対照的に「排出権取引」が中国やロシアにおいて、金を運んでくれる「棚からボタ餅」状態になっている点は、非常にがっかりする。
中国の現地労働者のやりとり(P.99)
「ああ、この連中は日本人だな」
「ああ、また変なものを買いに来たんだな」
「いいじゃないか、何でも売れるものは、売ればいい」
「そうだな、それで俺たちの給料が増えれば、構わないな」
「しかし・・・・・・。なんで、日本人はあんな煙なんかに大金を支払うんだ?」
これが、途上国の人たちの本音だと思うと、やるせなくなる・・・。
枠組みができたばかりで、進む方向を決めるのが難しい制度ですが、今のままではだめだ、という事を学べる一冊。
二酸化炭素を吐き出して、あの国が排出権を売ってるよ ( 2008-08-25 )
京都議定書に基づく排出権取引について、その枠組みを平易に説明するとともに、
その問題点を多数指摘している。
(1)京都議定書がEUに圧倒的有利な内容になっていること。
・EUについては、削減義務が(国別ではなく)EU全体にのみ課せられている。
・基準年がベルリンの壁が崩れた直後の1990年となっており、エネルギー効率の
低い東欧諸国が加えれば、削減目標は簡単に達成できる。
(2)地球を汚す権利の取引の売買が認められたこと。
・現在、排出権の最大の買い手はイギリスであり投機目的であることは明らか。
・排出権の先渡し契約には数多くのリスクがある。
(3)世界最大のCO2排出大国である中国が、最大の排出権の売り手であること。
・CDM(クリーン・ディベロプメント・メカニズム)等のODAで得た排出権を
売却することにより、中国は世界の排出権輸出量の49%を占めている。
なお、中国産の排出権は他国より安いとのこと。(笑)
=>日本は中国にODAをさせて頂き、その排出権を買わせて頂くとうという
奇妙な構造ができている。嗚呼。
その他にも、多くの問題点の指摘あり。
厳しい問題意識を持って読めば、良著であることが必ずおわかり頂けると思います。
最低2回は読んでね ( 2008-07-31 )
この著者の著書を読むのはこれで3冊目。
非常にわかりやすく丁寧に書いてくれているというのは、これまで読んだ著書からわかっていました。また、いろいろな文献で下調べされているようで、多角的な分析がなされているのも好印象でした。
ただ、この排出権取引というのはやはりかなり難しいです。なんの興味もなく読んでもチンプンカンプンという方もいるのではないかと思います。最大限読みやすく書いてくれているのですが、それでも1回読んだだけでは読後感がなんだかしっくりきません。
その原因はやたらと似たような用語がでてきて概念を把握しにくいことと、やたらとアルファベット3文字の略語がでてくるためです。
だいたいこの本のタイトルは『排出権取引とは何か』ですが、一般的な用語は「排出権取引」ではなく排出「量」取引です。排出権やら排出量やら排出枠やら似たような用語がでてきて、これらが同じものかそうではないのか整理しながら読まないとモヤモヤが増幅されます。
また、排出権のことを「京都クレジット」と呼ぶなど、「おい、またかよ」という感じなのです。
あまりに内容が理解しにくかったため(これは著者のせいではなくこの分野がまだ発展途上だからだと思われる)、私は2回読みました。しかも、2度目はノートに書いて整理しながら読みました。
排出権取引は進めてよいものです。 ( 2008-07-08 )
排出権取引というのは、マユツバだなあと思っていました。
しかし、確かにいろいろ怪しい感じのするものであるし、不公正もあって始まって
いる制度であるけれど、それでも、人類の汚点になるようなものではないこと、
推進していってよいものであることがわかってきました。
この本のよい点は、排出権取引制度のもつ不公正なところ、形のないものである
怪しげなものであるところについてもきちんと記述されていることです。
また、さらによいのは、できてない点があってもなお、この制度が人類環境に
とってよい影響を与える制度となりうることをと考える志しをもって
書かれていることです。
排出権制度は、60点、もしかしたら40点くらいの制度かもしれない、壮大な
実験となるかもしれない制度なのでしょう。
また、排出権も選ばないと、無形の価値創造を起こし、バブルをもたらす可能性も
ある制度であると考えられます。
だけれども、乗ってみる価値のある制度であると、そのように考えるのです。
排出権については、怪しいものも含まれており、正しい知識をもつ必要があります。
排出権の怪しさを知りたいという方も含め、ぜひ多くの方にこの本を手に
とって頂きたいものです。
